県市町村に勤務する地方公務員は台風による大雨、竜巻や地震発生時、災害対応出勤があります。
特に市町村の場合は避難所開設対応、土木部署は土のう準備、総務部署は災害対策本部運営と大忙しです。
元現場系公務員だったブログ主も東日本大震災はじめ災害対応を何回も経験しました。
この記事では、災害が起きたときの公務員の業務をご紹介いたします。
公務員の災害対応出勤
・警報の種類
・災害招集
・旅行届
災害対応の勤務時間
・現場部署配属の男性公務員は夜勤あり
・女性公務員の災害対応の勤務時間は21時~22時までが目安
災害ごとの出勤ルールや業務
・災害招集後の職員の動き
・地震
・大雨
地震や大雨が収まった後の仕事(被害調査)
災害対応の時間外勤務は超勤手当(時間外手当)が支給される
まとめ

公務員の災害対応出勤
年間を通して全国で何かしら災害が発生し、甚大な被害をニュースで目にすることが多くなりました。
地震・台風・大雨・竜巻・大雪・津波と、地域によっても災害もいろいろ
そうした災害の現場で住民保護のために働くことが公務員の仕事でもあります。
都道府県庁は部署によって災害対応の臨時出勤の有無があるようですが、市町村に勤務する公務員のほとんどは災害対応にあたります。
この記事では市町村などの地方公務員の仕事をメインにご紹介します。
警報の種類
公務員が災害対応のため出勤するかどうか判断材料とするのが警報です。
特別警報、警報、注意報、早期注意報という段階別に気象庁が防災気象情報を発信しています。
天気予報で良く目にする用語ですが、公務員の災害対応は警報発令が基準になっています。
| 特別警報 | 大雨(土砂災害、浸水害)、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮 |
| 警報 | 大雨(土砂災害、浸水害)、洪水、暴風、暴風雪、大雪、波浪、高潮 |
| 注意報 | 大雨、洪水、強風、風雪、大雪、波浪、高潮、雷、融雪、濃霧、乾燥、なだれ、低温、霜、着氷、着雪 |
| 早期注意情報 (警報級の可能性) | 大雨、暴風(暴風雪)、大雪、波浪 |
2022年6月1日より気象庁では、2018年に西日本豪雨などで大きな被害を出している「線状降水帯」、発生情報ではなく半日前から予測情報を発表するとしています。
報道発表資料によれば線状降水帯の発生予測の精度向上のためスーパーコンピューター富岳を使用するなど、関係機関と連携した技術開発・研究を進める方針です。
また、2024年5月28日から、対象地域をこれまでの地方単位から府県単位に絞り込んで呼びかけを行うと気象庁が報道発表を行いました。
記録的短時間大雨情報など、気象情報や判断基準が年々改定され、災害が起きやすい状況にあると実感します!
災害招集
市町村職員は休日でも災害招集の連絡が入れば出勤となります。
招集は災害対応を担当する総務部署や危機管理部署が状況に応じて招集範囲を判断します。
連絡は一斉配信のメールでスマホは手放すことができません。
災害の程度によって職員の招集範囲は違い、基準も自治体ごとに異なる場合があります。
スマホの電源は切れません!
また職員が臨時で集まることを招集(召集)や参集という言ったります
旅行届
災害対応で休日や業務時間外での出勤もあることから、何日も旅行に出る場合は旅行届の提出が必要な自治体もあります。
ブログ主が勤務した自治体は2・3日の小旅行は口頭報告で大丈夫でしたが、海外旅行で1週間以上ハネムーンで出かけるときは提出が必要でした。
旅行届の提出は1カ月前とありましたが、飛行機を予約したらすぐ上司報告が必須で、課内業務調整をそれぞれ行っていました。
どこにいるか上司に知られたくないけど、公務員の職務上仕方なし…

災害対応の勤務時間
地震・台風・大雨・竜巻・大雪、色々な災害があるなか臨機応変な対応が求められます。
休日の出勤もありますが、大雨の警報発令があれば夜も警戒に当たらなければなりません。
現場部署配属の男性公務員は夜勤あり
自治体の現場系部署は土木や農政などが該当します。
大雨警報があれば、こうした部署は職員が当番制で夜間の勤務もあります。
大雨警報が解除されず翌日まで続いた場合は、夜間勤務からそのまま始業ということもあり、体力が必要な仕事です。
女性公務員の災害対応の勤務時間は21時~22時までが目安
ブログ主は現場系部署で公務員経験があります。
大雨警報が出れば当番制で休日出勤や夜の勤務もありました。
雨が落ち着けば夜勤務は21時~22時に女性職員は帰宅になります。
また、子どもが小さいなど家庭の事情や体調面の不安があるなど、個々の事情で臨時招集の業務が配慮される場合もあります。
警報中は気象庁HPとYahoo!天気予報のアプリを開きっぱなしです!
→災害対応でも活躍、ダサくない!スタイルが良く見える作業着の話はこちら
災害ごとの出勤ルールや業務
ブログ主が体験した災害対応は地震、大雨(台風)、大雪を経験しました。
主事・主任レベルでの経験なので管理職の方々の視点ではもっと色々なことに配慮しながら仕事をしていると思います。
もし、災害対策本部機能など本格的な災害対応について知りたい場合は、ぜひ他サイトの記事を参考になさってください。
災害発生から参集(招集)後の職員の動き
スマホに職員参集の通知が来たタイミングから、災害対応のため現場に向かうまでの職員の初期行動の流れです。
①スマホに災害参集(招集)のメールが届く
↓
②現在地、庁舎到着までの目安の時間を書いて返信
↓
③庁舎到着、身支度済ませる
↓
④災害対策本部のホワイトボードに貼られた名簿の氏名に出勤チェック
↓
⑤対策本部から指示が出るまで、課内で連絡が取れない職員に電話連絡
もしくは市民からの被害報告の電話対応
↓
⑥被害報告は対策本部に報告して地図にマッピング
↓
⑦対策本部から班体制や課体制の指示が出たら被害状況確認や避難所開設
自治体によって差異はあるものの、こんな感じで動いていると思います。
⑦の班体制や課体制での行動になると、職員が班体制で自治会単位での安否調査、課体制では福祉部署は独居老人の安否確認を民生委員さんと行ったり、現場系部署総出で土のうづくりをするなど、それぞれの業務範囲に応じた災害対応を行っていきます。
部署で災害業務の割り振りは決まっていますが、状況によって他部署応援に行くことも多かったです!
地震
地震は震度によって職員の災害招集範囲が異なります。
職員を集合させるかどうかは災害を担当する総務部署が判断します。
例)震度5 全職員招集
震度4 総務部署職員招集
職員の招集範囲は自治体によって基準が異なります。
正職員300人と正職員1000人とでは母数の違いから役割分担や業務量も変わるからです。
全職員招集の震度5でも揺れ方によって物が倒れたか、そうじゃないかで招集をかけるかどうか、総務部署の判断は変わります。
まずは地震の揺れと周囲の様子を確認。被害がなさそうなら連絡が来るまで待機!
大雨(台風)
台風や大雨で警報が出た場合、現場部署である土木や農政などは勤務終了後の夜間や土日も当番制で勤務となります。
地震と同様に雨の強さ、夜間にかけての雨の予報、地域内の河川の越水状況をみながら、避難所開設を行います。
夜間の避難は危険を伴うので、日中に避難所開設準備をしておき、いつでも市民の方が来ても良いようにします。
床下浸水などが報告された場合は役所内で土のう作り、浸水被害が拡大しないように土のうを現場へ運び込むこともあります。
大雨(台風)時の外での業務
・土のう作り
・避難所誘導
・浸水地域の住民の方へ避難誘導(広報車で案内)
・河川の水位チェック(車で堤防を走行)
レインウェアを着こんで、長靴を履いて外での仕事が多く体力消耗も激しいです。
「川の水位、上がって来たぞ~~」by地元のおじさん
と、大雨で川の水が溢れて通れなくなる道は決まっているので、地元の方からすぐ電話報告をもらいます!
→現場用長靴についてはこちら
→現場系部署は歩きやすい足元で、でも公務員としてキチンと感もあるスニーカー選びの話
地震や大雨が収まった後の仕事(災害被害調査)
人的被害の確認が優先され、特に異常が無ければ設備点検に移ります。
地震による被害があれば、写真に収めてその後の修繕などをどうするか検討します。
また農政部署では、大雨や台風など強風が吹いた場合は地域内の農作物の被害がないか現地調査を行います。
様々な災害の状況に応じて被害調査を市町村が行い、また都道府県を通して各省庁に報告されます。
「〇号台風の農業被害額は3億円」とテレビや新聞などの報道に出る災害による被害額は、自治体の災害被害調査がもとになっています。
総務部署…施設点検
土木部署…橋梁や河川施設の点検
観光部署…観光施設や公衆用トイレの点検
農政部署…農業の灌漑(農業用の水路)設備の点検、農作物の被害調査
大雪や大雨、強風は農作物への被害が出やすいので農政部署は被害調査がとても多いです
温暖化の影響により、短時間のまとまった降水、台風の勢力が増していることで上流部の河川改良工事や電柱・電線の地中化を国が推進しています。
国はもちろん、市町村では地域の特性に合わせてた細やかな防災計画の策定、それに合わせた事業・予算化が急務です。

災害対応の時間外勤務は超勤手当(時間外手当)が支給される
災害対応で時間外勤務になることもあります。
こうした災害対応で時間外に行った業務は超勤手当(時間外手当)の支給対象となります。
災害対応、お疲れ様です!
まとめ
この記事では公務員の災害対応での業務について紹介しました。
・公務員の災害対応出勤の基準は「警報」や「震度」、「被害状況」によって休日でも招集される場合がある
・災害対応は夜間もある
・地震や大雨が収まった後の仕事として被害調査がある
・災害対応の時間外勤務は超勤手当(時間外手当)が支給される
公務員の災害時の仕事は地域の方々の命を守ることです。
公務員はこうした災害がいつ何が起こるか分からないことを想定しているため、日々負っているの責任感は大きいものです。
この記事を通して、公務員の災害の仕事がどんなものか知る機会となればと思います。


